お知らせ
新たなSCUOLA complexへ
10数年前、白金台から始まりましたSCUOLAも、その後五反田を経て今回新たに大森へと移って参りました。子供の頃を馬込で過ごした私にとっては懐かしい場所です。駅の側、ここからほど近い所に白木屋デパートがあり、その正面玄関にはチョコレートで出来た大きなキューピー人形が飾られ、いつも飽かず眺めていた少年の私がいました。そんな思い出の大森で新たな形を持ったSCUOLA complexを展開します。
ウイーンを離れ初めての個展は銀座の青木画廊で、私はまだ26歳でした。その時、詩人の吉岡実さんに聞かれました。「プロとは何だとも思う」「その仕事で食べられる人では?」「違う。創作に真摯な真摯な姿勢を保ち続ける人のことです。」以来、私はこの言葉を反芻し続けています。
表現の辛さに描くことから遠のいてしまった。環境から諦めざるを得なかった。教室を訪ねる勇気がなかった。美大に行けなかった。描きたくても描けない理由は其々でしょう。また「絵画技法」を識りたい、油彩を理解したいから始まり、溶き油は、プレパレーションは、グレーズは、インプリミトゥーラはと、正しく語られることの少ないそれらの意味を分かることも大事です。画家である講師たちが個人的な好みで作品を批評することはしません。15、16世紀ルネサンスから17世紀バロックまでの油絵具の使い方を生んだその思考を基本として接しています。
描きたいと思った時が始める時なのでしょう。SCUOLA complexで待っています。
主宰 川口起美雄